バターのようなのに80%が水という低カロリースプレッド

バターは10gあたり75kcalほどで、そのほとんどが脂肪で構成される高カロリーな食品。Cornell大で、新たに構成要素の80%が水という低カロリーのバターっぽいスプレッドが開発されたとのこと。
大さじ1杯あたり脂肪2.8g、25.2kcal。バターは通常、脂肪が84%、水が約16%で、大さじ1杯あたり脂肪約11g、ほぼ100kcal。合成安定剤を用いておらず本物のバターの4分の1のカロリーというスプレッドは、High-Internal Phase Emulsions(高内相エマルション/HIPE)技術を活用して、8割という高い水分含有率を実現。米国での低カロリーのバターに対する需要は大。W / O HIPEは非常に不安定であり、高濃度の界面活性剤を導入しないと生成が困難という課題あったが、このultrastable W/O HIPEs で、高い水分含有率を保ちつつも、同時にユニークな質感と機能を提供可とのこと。これに牛乳や植物ベースのタンパク質を加えることで、味や機能性を変更することも可能とのこと。このultrastable W/O HIPEs は、二層構造をとるgel-in-gel water-in-oil (W/O) high internal phase emulsions (HIPEs)であるのが特徴。Hydrogelsが oleogels中に分散。self-forming, low-concentration interfacial Pickering crystalsを形成して、安定化しているとのこと。詳細は、下記文献などに当たってみてください。
■ Ultrastable Water-in-Oil High Internal Phase Emulsions Featuring Interfacial and Biphasic Network Stabilization | ACS Applied Materials & Interfaceshttps://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsami.9b05089
■ You butter believe it: Low-calorie spread made mostly of water https://phys.org/news/2019-08-butter-low-calorie.html
■ High-Internal Phase Emulsions(高内相エマルション/HIPE)技術の説明(動画)https://youtu.be/toh9bx7kjwM
脂質の重要性が見直され、あまり「減脂」と言われなくなってきているように感じますが、以前として肥満やそれに伴う生活習慣病などがあるので、必要以上の摂取は避けたいところかと思います。ultrastable W/O HIPEsという技術は魅力的に感じます。工業生産も可で、コストも従来と変わらない程度に抑えられるなら試してみたいところです。

SweeGen社: ステビア甘味料 Reb EについてGRAS No Objection Letterを取得

SweeGen社が、Bestevia Reb D and Reb M stevia sweetenersのGRASについて、FDAからのno objections letters取得。GRAS notificationの状態になった模様。加えて、Reb EについてもGRAS No Objection Letterを取得との記事。

(Reb : Rebaudiosideの略。ステビオール配糖体)

製品名をBestevia e+(GRASで使用した名称は、BESTEVIA® Rebaudioside E (“Reb E”))とした最新のステビア甘味料は、plant-based bioconversion processで製造され、Reb E 95%、Reb M(50ppm以下)、および他ステビア化合物を含んだ製品。Bestevia e +は砂糖に近いmouthfeel とtasteを呈し、cane sugarと同等の価格で、100%砂糖低減ソリューションを提供可とのこと。CacaColaとPepsiCoが、各々特許化しているReb M and Reb D使用飲料アプリを越える減糖ソリューションとして製品化したもの。飲料業界は、(CacaColaとPepsiCoの)既存IPを尊重していて、飲料に使用できるReb M+Reb Dを超えた新しいステビア分子を求めていた。Bestevia e +(Reb E)は、飲料、乳製品、スポーツ栄養、調味料、パン屋など、さまざまな用途で砂糖と人工甘味料の削減に貢献するはずとの主張。

(上記の図表が見づらい方は、下記をクリックしてPDFファイルでご参照ください。)

Rebaudiosideの構造

 

ステビア抽出物から得られる甘味物質には、様々な化合物が存在する。その中の、ステビオール配糖体であるRebaudioside(Reb)については、Coca-ColaとPureCircleの研究開発チームが、上図にあるようにReb A~Mの味プロファイルなどを調べ、Reb MとReb Dの混合物がもっとも好ましい味質であることを報告(Development of Next Generation Stevia Sweetener: Rebaudioside M、Foods 2014, 3, 162-175)。ステビア甘味料の課題であった後味の苦味がない成分組成が提案されていた。その後、Cargill-EvolvaやDSMなどが、発酵法によるReb M+Reb Dの製品化を果たしたり、PureCircleなどによりステビア抽出物からの精製と酵素変換によるReb M+Reb Dの製品化がなされたと記憶。今回の記事は、Reb Eの製品化を報じている。上記の図表にあるように、天然にはReb Eも存在。新たに、このReb Eを製品化したと解釈される。しかし、これまでReb Eに関する報告があまりなく、甘味度や含有量も少なかったと思うので、やや混乱気味。plant-based bioconversion processで製造とあるので、精製と酵素変換で糖部分の構造変換を行って、目的とする構造としたと思われる。Reb Eの性質については、あまり語られてこなかったので、唐突感があるため頭の整理がつかないというところ。市場に出てくると、その評価も定まってくると思われるので、どのような反響になるのか注目したい。

DouxMatok社: “sugar with sugar”で減糖する方法(SiO2のナノサイズ粒子にショ糖をコーティングした甘味料)

イスラエルのfood-tech company DouxMatok社が、“sugar with sugar”で減糖する方法(SiO2のナノサイズ粒子にショ糖をコーティングした甘味料)でUS$22 million獲得とのこと。sweet taste receptorに効率的に砂糖を供給することで、taste, mouthfeel or textureに影響せずに、より少ない砂糖量で40%減糖とする技術。

DouxMatok社は、series B funding round投資で得た資金を、様々なflavor profilesに対する技術の適用性を図るための“breakthrough technological platform”を開発し、世界規模で展開するのに活用するとのこと。DouxMatok社の5つの柱:①欧米の減糖新製品開発のためのsugars available提供のための早期スケールアップ。②食品開発支援/scalable recipe re-balancing servicesの提供。それに伴う、新食品用途における専門知識の向上と最先端のアプリケーションラボの構築。③減糖の最適化に関するR&D推進により、主要な消費者のニーズに対応した製品拡大。④新しいマーケティングキャンペーンの開始。⑤塩など他のフレーバープロファイルへの独自のフレーバーデリバリー技術の適用とのこと。減糖ソリューションの提供は、消費者にとって重要事項であるばかりでなく、食品企業にはworld’s top-selling productsの創出につながると主張。この資金調達ラウンドには、欧州最大の製糖メーカ-SüdzuckerAG、DSM、タイ食品・飲料コングロマリットSingha CorporationのコーポレートベンチャーファンドであるSingha Venturesなどが参加。DouxMatok’s technologyは、20件の特許で守られていて、DouxMatok sugarsを活用して製造した食品は、(40%減糖としても元と)同等の甘味度と、blind tastingsで好まれることが多いとのこと。削減した砂糖分をnutritional fibers and/or proteinsで置換(or栄養補完)するレシピで調整も可。DouxMatok sugars は、SüdzuckerAGと共同製造し、2019年Q4に商業的に利用可となる予定。複数の食品メーカーとコラボして製品開発中(Reading大と欧州食品企業とのEuropean Institute of Innovation and Technology based projects)。この減糖技術を、塩を含むfurther ingredients and flavorsにも拡張予定とのこと。

■ DouxMatok :http://www.douxmatok.com/

 “We’ve successfully completed butter biscuits and white cake during European Institute of Innovation and Technology based projects with several leading European companies and Reading University,”
 The sugar is DouxMatok’s first product developed under its proprietary efficient flavor delivery platform, and the company intends to expand the platform to include further ingredients and flavors, including salt.

 

Nestleは、中空構造を呈するショ糖(肉厚のピンポン玉のような構造の砂糖というイメージか?)を特許化し、製品にも活用し始めている。DouxMatok sugarはSiO2のナノサイズ粒子にショ糖をコーティングした甘味料と聞く。例えは悪いが、「下駄を履かせた砂糖」というイメージの製品。同様の手法で、減塩や減脂を図る製品を作成することもできると想像される。固形製品に練り混んだ場合は、思惑通り、taste, mouthfeel or textureに影響せずに減糖製品を製造できそうに思う。液体や、加工・製造に際して、一旦溶かすような作業が入る場合も、同等の機能を発揮できるのかがポイントになりそう。特許を詳細に読み込んでみる価値はあるのではと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Mondelez:カルシウム塩によるチョコレートのsalty, spicy, sweet, bitter, fruity flavour増強特許

Mondelezから、チョコレート中のsalty, spicy, sweet, bitter,  fruity flavoursを含むsweet and savoury foodsのカルシウム塩によるflavor増強方法を特許化とのこと。

chocolate, caramel, baked confectionery,  potato and cereal based crisp products, and seasonings を含む savoury itemsなどが適用範囲。発明のポイントとなるsecret ingredient は、calcium salt(calcium lactateを意図している様子)とのこと。median particle diameterが5μm~100μmのカルシウム塩粒子の添加が、成分のtaste perceptionを変えるとする特許。チョコレートのconching process (精錬工程:チョコレートをなめらかに練り上げる工程)で有効とのこと。このコンチングは、ココア特有の物質を加熱し、分解し精錬することで、香りが高まり、口あたりの滑らかチョコレートにする工程。時間をかける程良いものとなるが、時間短縮して製造コストを抑えたいというニーズあり。付加的に食品添加物を加えるか、perceptionを変えるflavor or compoundを添加することで短縮化を図っているが、食感が変わったり、powdery feelを感じたりすることが課題になっていた。口中で粒子として認識できないような大きさの“Calcium salt particles”は、食感に影響なく、幅広く様々なフレーバーを増強するとのこと。減塩製品のflavor増強効果もあり。Monosodium glutamateと同じように、calcium saltを含有するLow salt productsは、減塩しても、比較対象となる通常の食品と同等の味(塩味)にすることができるとのこと。

■ Mondelez特許:https://patentscope2.wipo.int/search/en/detail.jsf
Claims
1. A method to improve the flavour profile of a food product, comprising
adding particles of a calcium salt to a food product.
2. The method of claim 1, wherein the addition of the calcium salt enhances the perception of any one or more of the following flavour characteristics: salty, tangy, spicy, herby, gingery, sweet, acidic, rich, cocoa, nutty, bitter, minty, vanilla, earthy, mushroom, umami, sour, fruity, smoky, savoury, caramel, buttery, creamy or malty.
3. The method of claim 1, wherein the food product is a reduced salt food product, and addition of the calcium salt enhances the salt flavour of the reduced salt food product.
4. The method of claim 1, wherein the particles of the calcium salt have a median particle diameter of less than 100 μm.
5. The method of claim 4, wherein the particles have a median particle diameter of less than 30 μm.
6. The method of claim 1, wherein from 1 g to 8 g of calcium salt is added per kg of food product.
7. The method of claim 1, wherein the food product is a confectionery product.
8. The method of claim 1, wherein the food product comprises chocolate.

Mondelezのこの特許は、終始Calcium saltで通して記載されているが、実施例を見ると、Calcium saltがcalcium lactateを指していることが判ります。Flavor enhanceに重要なのがCa+なのかLactateなのかが不明かと思います。Lactateだとして、Flavor増強に必須な構造がどのようなものかなど、もう少し知りたいところです。明確になっていれば、特許の構成も変わっていたのかもしれません。

KClの表示を塩化カリウム(’potassium chloride’)からカリウム塩(’potassium salt’)への表示名変更要請活動

WHOは、血圧降下と心疾患リスク軽減のため、カリウム摂取量を上げるように、下記Websiteで呼びかけている。成人でカリウム3510mg/dayを取るようにとのこと。

Increasing potassium intake to reduce blood pressure and risk of cardiovascular diseases in adults

http://www.who.int/elena/titles/potassium_cvd_adults/en/

WHO recommendations
WHO recommends an increase in potassium intake from food to reduce blood pressure and risk of cardiovascular disease, stroke and coronary heart disease in adults.
WHO suggests a potassium intake of at least 90 mmol/day (3510 mg/day) for adults.

Campbell Soup backs ‘potassium salt’ petition: A more consumer-friendly name will ‘advance public health goals’
Foodnavigator 05-Jan-2017 By Elaine Watson


Campbell Soup has joined a growing number of food manufacturers backing a citizen’s petition from NuTek Food Science asking the FDA to allow ‘potassium salt’ as an alternate name for potassium chloride on food labels.

 

このような動きに対して、KClサプライヤーのNuTek Food Scienceは、KClの課題である苦味、金属味、えぐ味などと表現される後味を抑制する技術を開発し、特許出願している。このNuTek社が中心になって、’potasium cloride'(塩化カリウム)の食品表示を’potasium salt'(カリウム塩)にするのが良いとする請願活動が行われているとのこと(上記記事参照)。減塩とカリウム摂取量アップを図るために、’pottasium cloride'(塩化カリウム)だと消費者には’chemical sound’としてとらえられる。NuTek社とCampbell社が共同で調査をしたところ、’potasium salt'(カリウム塩)とした方が、好意的に受け入れられるとの結果になったとのことで、’potasium salt'(カリウム塩)への表示名変更活動を推進していた。

NuTek Food Science:http://www.nu-tekproducts.com/category/nu-tek-food-science/
フレーバーマスキング成分を添加せずカリウムの金属味を抑えるプロセス技術を保有

さらに、下記記事によると、

Nestlé, Unilever & suppliers push EU for potassium chloride label change
Foodnavigator 21-Sep-2018 at 14:25 By Niamh Michail

Manufacturers should be able to label potassium chloride, used to reduce sodium levels in food, with more consumer-friendly names such as potassium salt, argues a joint position paper.

 

EU加盟国5カ国2,400人以上の消費者調査結果をまとめたposition paperによると、”potassium chloride”という言葉は、 ‘chemical-sounding’とのこと。加盟国は、製造業者が塩分削減ツールとして使用する場合、調査でより高い受容率を示し、より適切であると思われている‘potassium salt’, ‘mineral salt (potassium)’、‘potassium mineral salt’といった名称にするようEUに要請。Nestlé and Unilever as well as several trade groups: bakery association AIBI; processed meat association, Clitravi; and Culinaria Europeが署名しているposition paperとのこと。KClサプライヤーのNuTek Food Science とJungbunzlauerも署名。EU内でカリウム塩の表示問題を正式に開始するよう欧州委員会に提出。名称変更で、欧州食品業界の継続的なナトリウム削減努力が可能になると同時に、カリウム摂取量の増加に関する世界保健機関(WHO)の勧告を支持することになるとしている。「どの表示用語が国の規制と解釈の文脈において最も適切かを決定するのは、製品のポジショニングと関連するターゲット消費者に基づいて、食品事業者が判断するべきとの主張。例として、“Ascorbic acid used as food additive is labelled as ‘antioxidant ascorbic acid’ [but] when used as a Vitamin it is labelled as ‘Vitamin C’. Beta-carotene used as a food additive is labelled ‘colour beta-carotene’ [but] when used as a vitamin it is labelled as ‘pro-vitamin A’.” ( カリウムの栄養基準値は2000mg。 EFSA:KClサプリメント 3g/日の長期投与で健康人には影響なし。腎機能障害または慢性腎疾患(CKD)患者は、カリウム摂取量を監視し、制限する必要あり。)

表示名変更のロビー活動が活発化する中、Nestlé, Unileverも加わって本格化してきた感があります。どのような表示かで、受け止められ方が定着化し、イメージが出来上がってしまうと、例え、それが有用なもの、必要なものであっても、拒絶されてしまうことが多々あるので、誤解ない範囲で受け入れやすい表現(表示)に変えることは良いことのように受け止めます。