Burger King: “Impossible Whopper”_ビーフ100%と区別つかず?!

4月初旬に、Burger Kingで、Impossible burgerを試売するというニュースが流れ、その後、色々なメディアで取り上げられるようになり、食べ比べた感想などについての記事も多く見かけます。“Plant-based proteins are no longer just a meat replacement, it’s now its own category,”という記載する記事もあります。YouTubeにアップされている”Trying Burger King’s Impossible Whopper“は、元スタンフォード大学教授で、Impossible Foodsの創始者である Pat Brown氏のインタビューもあって、情報量が多く興味深い内容と思いました(下記YouTubeで詳細をご参照下さい)。クーリエ・ジャポンにも、下記記事が掲載されていて、欧州でも関心高いのではと思います。

 

さて、クーリエ・ジャポンは、BurgerKingの”Impossible Whopper”について、以下のように紹介しています。

Burger Kingdで、Impossible Foods社が開発したパテを用いた新メニュー“Impssible Whopper”を59店舗限定で発売。反応が良ければすぐにでも全米の7200店舗に拡大する計画。社内で行われた試食では、顧客だけでなく従業員までもが、いつものWhopperと肉なしWhopperの味の違いがわからなかった。BurgerKingでは、以前からベジタリアン向けハンバーガーを販売しているが、牛肉パテの味や食感の「再現」を狙ったものではなかった。Impossible Whoperは、「再現」を目的として開発。栄養面では、タンパク質量はレギュラーのWhopperと同等で、脂質は15%オフ、コレストロールも90%オフ。値段は従来のWhopperより$1ほど高め。環境意識の高い“牛肉好き”の腹を満たすために開発。Pat Brownの起業動機は、牛肉消費にともなう倫理的、健康的、環境的コストとのこと(下記YouTube参照)。

■ ”Trying Burger King’s Impossible Whopper“:https://www.youtube.com/watch?v=ng4C2HMH664
(Prof. Pat Brown のインタビューや、食べ比べシーンもある動画)

■ The Impossible Taste Test | Impossible Whopper: https://www.youtube.com/watch?v=N9FED3jkNTo
(Burger Kingの店舗シーン、食べた感想などについての動画)

■ Impossible Burgerの製法など:https://www.foodnavigator-usa.com/Article/2019/01/08/Impossible-Foods-replaces-wheat-with-soy-protein-concentrate-in-its-plant-based-Impossible-burger

 

Impossible Foods社のImpossible Burgerは、植物タンパク質をベースにした肉代替。創始者のPat Brownは、肉の再現を目指しており、肉様の色の再現や、肉臭の付与のために、遺伝子組換え技術を用いて大豆ヘムタンパク質であるleghemoglobinを製造し、添加している。これにより、加熱前後の肉と類似の変化を示し、肉の挙動を再現している。Burger Kingの”Impossible Whopper”の試売が成功すれば、遺伝子組換え成分が入った食品でも、透明性を高め、理解を求めれば、消費者に抵抗感なく受け入れられることを証明することになる。もちろん、Impossible Foodsの肉の持つ味、香り、色、食感をPlant-based productで再現する技術力の証明ともなるので、Impossible Whopperの売れ行きに注目したい。次のブログで、Prof. Pat Brownsが Impossible Foodsを創設した経緯などについても述べてみたいと思っています。

尚、Impossible Whopperには、マヨネーズが使用されているので、Vegan向けのものではないと、記事に記載がありました。

藻類によるヘムタンパク質の製造

藻類由来のたんぱく質生産プラットフォームを保有するTriton Algae Innovations 社が、遺伝子組み換え技術を使用しないHeme(Impossible Burgerのred, meaty-tasting star ingredient)の製造法を開発したとのこと。

Triton社は、緑色藻類 Chlamydomonas reinhardtii をUV処理で、Hemeを生成させて赤色に変換。Chlamydomonas reinhardtii は、自然にhemeを生産することができるが、chlorophyllと同じ経路であるため、chlorophyll (緑色) or heme (赤色)に転換する前駆体を持っているとのこと。伝統的な育種方法で、Heme産生の高収率品種を開発したとのこと。収穫・分画された藻類細胞から抽出しても良く、他の成分が必要なら全藻類成分を使用することも可。Impossible Foodsは、GMO(正確にはGMM)であるleghemoglobin を使用しているので、Non GMO Project Verified stampとならない。よって、Non-GMOを求めるplant-based meat brandsは、藻類由来Hemeに興味を持つだろうと見込んでいる。また、Impossible Foodsは、多くの時間と費用をかけて、酵母発酵で得たleghemoglobinをGRAS notification(securing a ‘no questions’ letterと記載)とし、食品添加物申請もしている。Triton 社は、 GRAS determination(パネラーがOKした状態)を短期間で取得できると見込んでいる様子。表示は、抽出hemeのみか、 whole cell algae ingredientで異なると考えているとのこと。San Diego に100kg製造可のパイロット施設を建設して、関心のあるplant-based meat companiesにサンプル供給予定。食品・飲料業界をターゲットにした最初の製品は、“sweet parsley”に似た必須アミノ酸、オメガ-3脂肪酸、繊維、鉄およびカルシウムを含むタンパク質に富むNon GMO ‘wild type’ whole algae ingredientで、食品・飲料業界から大きな関心を集めているとPR。(synthetic biologyやgene into [the chloroplast genome of] of Chlamydomonas reinhardtii導入も検討している模様)。

 

Impossible Foods社の”Impossible burger”の大きな技術ポイントは、大豆中のヘモグロビンであるleghemoglobinを、遺伝子組み換え技術を用いて発現し、それを植物たんぱく質ベースの製品に添加していること。leghemoglobinが、生肉のような赤色を呈し、加熱の際は、肉用風味の生成にも寄与しているとアナウンスされている。Triton社は、non-GMOのヘムタンパク質を提供すれば、顧客は藻類Hemeを選ぶだろうという見込み。しかし、”Impossible burger”の成分表を見ると、その他にも、技術的な工夫がなされているように思われる。単純に、植物たんぱく質を主体とした配合物に藻類hemeを添加したとしても、肉様の味、香り、食感にはならないと考える。Impossible Foodsの特許を見ると、様々な試みの結果であることがわかる。顧客が、藻類hemeを使いこなして、肉様製品を形成する技術を持っているか、あるいは、Triton社自身が、そのような技術の開発をしなければならいのではと推察する。技術の切磋琢磨を期待したい。

 

【関連情報】

■ Triton Algae Innovations : https://www.tritonai.com/

(2013年UC Davisからspin off. Chlamydomonas reinhardtii のタンク培養でosteopontinを製造)

■ Triton社技術の紹介サイト: https://www.tritonai.com/tritons-alternative-meat

 

“Impossible Burger”が、グルテンフリーの“Impossible Burger 2.0”へ

“Impossible Burger”が、“Impossible Burger 2.0”なるとのこと。“Impossible Burger 1.0”との違いはグルテンフリーになったところ。これまでの主要成分はtextured wheat proteinだったが、2.0ではこれをsoy protein concentrateに切り替え、より本物の肉の味に近づき、“tastier, juicier, beefier” (and now gluten-free) burgerになっているとのこと。

減塩、飽和脂肪酸軽減(ヒマワリ湯への変更、コンニャクガムとキサンタンガム未使用とし、加工澱粉とメチルセルロース (which are also used in the plant-based Beyond Burger), cultured dextrose (a popular preservative), vitamin C and vitamin Eを追加。2/4から、米国取り扱いレストランに供給。1.0は、パテ部分のブラインドテストで、‘80/20’ ground beef に相当という評価で、レストラン5000店が導入。オリジナルのImpossible Burger(2016年発売)は、今年後半には小売り発売できるように改良・準備中。新レシピの方は、餃子からsloppy joes(サンドイッチ?)まで、あらゆる挽肉料理に活用できるよう最適化。蒸し、焼き、または炎で焼くことも可。調理過程を通してその質感とジューシーさを保持。soy leghemoglobin (‘heme’)について、self-GRAS取得。FDAも、将来いくつかの用途では色素添加剤と見なされる可能性があるとコメント(The FDA also noted that soy leghemoglobin could be considered a color additive in some potential future applications, prompting Impossible Foods to file a color additive petition with the FDA on November 5, 2018.)。Hemeが、色素用途としては、曖昧な位置付けなので、小売販売開始時期に影響するかもしれないが、スケジュール通り発売可となると見込んでいる様子。

【新・旧レシピの違い】

  • Impossible Burger OLD ingredients list: water, textured wheat protein, coconut oil, potato protein, natural flavors, 2% or less of: leghemoglobin (soy), yeast extract, salt, soy protein isolate, konjac gum, xanthan gum, thiamin (Vitamin B1), zinc, niacin, vitamin B6, riboflavin (Vitamin B2), vitamin B12.
  • Impossible Burger NEW ingredients list: Water, soy protein concentrate, coconut oil, sunflower oil, natural flavors, 2% or less of: potato protein, methylcellulose, yeast extract, cultured dextrose, food starch modified, soy leghemoglobin, salt, soy protein isolate, mixed tocopherols (vitamin E), zinc gluconate, thiamine hydrochloride (vitamin B1), sodium ascorbate (vitamin C), niacin, pyridoxine hydrochloride (vitamin B6), riboflavin (vitamin B2), vitamin B12.

段々と本物に近づくにつれ、バターとマーガリンの関係のように、「肉」とは一味異なる機能を求める人達の要望を叶える存在になっていくのかもしれません。小売り販売されるようになり、表示などにより、より中身が何であるかをチェックされるようになった時に、消費者のperceptionがどう変化するか興味深いところです。

Impossible Foods社:”Impossible Burger”を米国grocery storesで販売へ

Plant-based Impossible Burger to launch in retail stores in 2019
Foodnavigator-USA 08-Nov-2018 at 19:18 By Elaine Watson

In response to “overwhelming demand from consumers,” Impossible Foods has confirmed plans to sell its plant-based Impossible Burger in US grocery stores next year, although it is not sharing details of the scope of the launch, pricing, merchandising tactics, or the names of potential retail partners.

 

大豆などの植物タンパク質から肉様の味・香り・食感を持ったplant-based meat(”Impossible Burger”)を製造・販売しているImpossible Foods社が、消費者の圧倒的な要望に応えて、2019年に米国のgrocery stores で、“Impossible Burger” を発売予定とのこと。ソーシャルメディアのファンからの一番の要望は、‘When will I be able to buy and cook the Impossible Burger at home?’で、plant-based meatを調理してみたいとの願い。これまで米国5,000店舗超 のレストラン (White Castle から Fatburgerまで)と、香港・マカオの 100店舗のレストランに”Impossible Burger”を供給。 Redwood CityからOakland production facilityに生産拠点を移し年末までに生産量を倍にし、taste, nutrition and valueで、動物の肉を凌駕することを目指すとのこと。meat-eating consumersのブラインドテストで、半数はは“Impossible Burger”を好ましいとしたとのこと(5年前の評価は、10%以下)。”the most destructive technology on Earth.“(Dr Brown談, a Stanford biochemist and genomics expertでImpossible Foods CEO)。動物由来食品の需要は急増している。屠殺は好ましくないから、代わりに豆や豆腐を食べよとは言わない。非効率的な動物ベースの技術による肉よりもおいしくて栄養価が高く持続可能な”肉“を作ればよいとの主張。大きな喜びと価値をもたらし、それを消費者に選択肢として提供する。市場の需要(判断)に任せればよいとのこと。

Impossible Foodsの技術ポイント(上記URLの記事より)
■ At Impossible Foods, the key components of meat have been identified, characterized and sourced from plants such as soy, wheat and potatoes, and processed using high-moisture extrusion and other techniques in order to meet precise functional, taste and textural criteria.
■ The secret sauce is ‘heme’, a molecule that’s “super abundant” in animal muscle. This is sourced from leghemoglobin, a protein found in nodules attached to the roots of nitrogen-fixing plants such as soy that is similar to myoglobin and hemoglobin (which make blood look red).
■ Impossible Foods is producing it via a genetically engineered yeast he DNA of which has been retooled to produce leghemoglobin.
■ Impossible Burger ingredients list: Water, Textured Wheat Protein, Coconut Oil, Potato Protein, Natural Flavors, 2% or less of: Leghemoglobin (soy), Yeast Extract, Salt, Soy Protein Isolate, Konjac Gum, Xanthan Gum, Thiamin (Vitamin B1), Zinc, Niacin, Vitamin B6, Riboflavin (Vitamin B2), Vitamin B12.

 

grocery storesで販売されるようになると表示が必要ではないかと思います。genetically engineered yeastで発現したレグヘモグロビンに対する消費者の受けとめ方がどうなるのか注目したいところ。CEOのDr Brownが主張しているように、消費者が選択すること。leghemoglobinについては、優秀な生化学者らしい論法で、Self-GRASを取得。FDAから、異議なしの見解を引き出している様子。植物からの摂取が難しいVit. B12などは、微生物生産している。ベジタリアンは、微生物や遺伝子組換えに関して寛容であると思われるので、問題なく受け入れられるのではと思われます。。以下のURLの記事で、leghemoglobinとそのGRAS認定について知ることができるかと思います。

■ Inside the lab where Impossible Foods makes its plant-based “blood”
Fast Company 2018/11/12

 

■ FDA backs Impossible Foods’ “magic ingredient”
Foodingredientsfirst 31-Jul-2018

Impossible Foods has received a no-questions letter from the US Food and Drug Administration (FDA).