菜種タンパク質中の苦味成分の同定

菜種(Brassica napus)は、ヨーロッパ、中国、インド、カナダ、オーストラリアなどで豊富に栽培されている。高品質の脂質組成で、食用油脂として活用。菜種は必須アミノ酸からなる高品質タンパク質も含有。しかし、菜種タンパク質は、強い苦味(very bitter-tasting secondary plant constitutes)を有するため、家畜用のタンパク質飼料以外は使い道がないとのこと。

ミュンヘン工科大学(TUM)で、菜種粕中のcruciferinやnapinといったタンパク質(含量80-90%)から、不快な苦味の原因となる物質を分離・精製。この単離された菜種タンパク質中の苦味成分を同定した文献の紹介記事。kaempferol 3-O-(2‘‘‘-O-sinapoyl-ß-sophoroside)と同定。Cruciferin1kg当たり、390 mg の kaempferolを含有。菜種粕とnapinは、10分の1未満のkaempferol含有量にもかかわらず、官能試験では苦味を呈するとのこと。苦味を低減する方法は2つ考えられるとのこと。解決策案:①kaempferol誘導体の抽出or破壊(分解、改質)② 低kaempferol品種の育種。Celiac UKとInnovate UKは、苦味が低減されれば、グルテンフリーのパンのための新しい植物タンパク質となるとして、研究に資金を提供する計画。菜種粕はグルテンフリーのパン素材として研究されているタンパク質源の1つとのこと。

 

Sustainabilityの観点から、Plant-based productsの市場が拡大し、そのトレンドが長期化するだろうと予測されている。特に、動物性から植物性の食品素材に移行する上で、植物たんぱく質資源の選択が重要となる。現在は、大豆たんぱく質や小麦たんぱく質が主体になっている。しかし、大豆たんぱく質は、アレルギー問題やGMOであることであったり、溶媒抽出残差由来であること。小麦たんぱく質は、グルテンフリーが好まれることなどから、大豆や小麦に代わる植物たんぱく質源が求められている。新規な植物たんぱく質源としてPea proteinなどが有望視されているが、栽培量がまだ少ない。その点、菜種は、油糧種子として位置づけられ、栽培量もそれなりにある。従って、搾油後の菜種粕の苦味成分が、安価な方法で除去可能であれば、植物たんぱく質源として菜種は有望であろう。欧米人は、苦味に対する感受性がかなり高く、日本では受け入れられている製品でも、苦味があるといって拒絶されることが多々あったことを記憶している。恐らく、吸着しているのだろうから、物理化学的な処理だけで苦味成分が低減できることが期待される。さらに、苦味除去後、どのような機能特性や加工特性を持っているのか確認が必要なのは勿論のことである。

 

■ Kaempferol:https://ja.wikipedia.org/wiki/ケンペロール

■菜種タンパク質:Cruciferinと Napin

Structural Properties of Cruciferin and Napin of Brassica napus (Canola) Show Distinct Responses to Changes in pH and Temperature.

Plants (Basel) 2016 Sep 7;5(3). pii: E36. doi: 10.3390/plants5030036.

https://www.mdpi.com/2223-7747/5/3/36